CROSS TALK 農林中央金庫×農中情報システム

Norinchukin × NIC

最先端のIT技術を活用し、
日本の農林水産業のその先に見据える未来とは

本格的なデジタル化時代の到来を前に、
農林中央金庫と農中情報システム(NIC)に
新たな部署が設置された。
「デジタルイノベーション推進部」と
そのカウンターパートとなる「デジタルクリエーション推進部」。
新設の部署同士の強力なタッグによって目指すものは何なのか。
未来への構想を紐解いていく。

  • 荻野 宏 Hiroshi Mitsui

    1990年度、農林中央金庫に入庫。システム部門を中心としたキャリアを歩む。2000年に米カリフォルニア大へ留学しインターネットビジネスを学ぶ。執行役員として、2017年より新設の「デジタルイノベーション推進部」部長を務める。

  • 重 祐介 Yusuke Takahashi

    1993年度、農中情報システムに入社。トレーディングシステムの基盤開発・保守を皮切りに、開発部門をはじめ、開発・品質・リスク管理や監査対応などの管理部門にも幅広く携わる。2018年、社内に創設された「デジタルクリエーション推進部」の部長に就任。

Chapter 01

デジタル化の潮流が、
NICという会社のあり方を変えようとしている。

─── まず、それぞれの部署が設置された経緯を教えてください。

荻野
現在はデジタル化の進展にともなって、ネット系企業などの新しいプレーヤーがさまざまな業界に参入し、業界地図を塗り替えています。金融業界でも同様に、従来の枠組みを超えるような構造変化が起き始めているため、我々としてもできるだけ早期に手を講じていかねばなりません。とりわけ農林中央金庫は、日本の農林水産業を支えるという使命を持った金融機関です。その責務を果たすためにも、デジタル技術を活用し、農林水産業や地域社会に寄与するようなサービス及びビジネスを生み出していくべきだと考えました。
我々が身を置くIT分野では、AIやブロックチェーン(分散型台帳技術)、RPA(ロボットによる業務自動化)を筆頭に、新たな技術が続々と登場しています。また、システム開発の手法に関しても、伝統的なウォーターフォール型のほか、スピードを重視したアジャイル型開発への要求が高まっています。このような大きな環境変化をとらえて最新テクノロジーをキャッチアップする専門部署を新たに設置することで、農林中央金庫・JAの業務に役立つ新技術の導入、開発・保守の生産性向上のための新技術の導入を推進することになりました。
荻野
NICは従来、我々のパートナーとして金融業務を支えるためのシステムをつくってくれていたわけですが、昨今のデジタル化の潮流はNICという会社の位置づけを変える可能性を感じています。つまり、NICが技術からの発想で新たなサービスを積極的に企画提案し、“変革の主役”になっていくのではないかと思っています。
それは我々が目指している姿でもあります。これまでNICは、農林中央金庫の要望に応えていくのが主眼でしたが、今後のデジタル化に関しては、こちらからより能動的に新しいサービスやソリューションの提案をしていきたいですし、そうならなければいけないと認識しています。

Chapter 02

これから進めるイノベーションの方向性は、
FinTech×農業×食料×生活×地方創生のハイブリッド。

─── 具体的にはどんな取り組みを進めていくのでしょうか。

荻野
日本には、食料自給率の低下、少子高齢化、地方人口の減少といった社会問題が存在しており、我々はその解決を図るべく、農林水産業や食料問題、高齢化と地域の暮らし、地方創生などにFinTechを融合する形でイノベーションを構想しています。
荻野
たとえば、食料自給率の低下を食い止めるには、農業の担い手を増やすことが必要ですが、実は少しずつ新規就農希望者が増えているので、そのような人たちと耕作放棄地をマッチングするサービスなどが考えられます。また、海外からの旅行者を地方に誘うサービスや、「農泊」などのサービスも地方創生の一助となるでしょう。無論、サービスを提供すると、必ずお金が動くため、FinTechが必要となり、NICの出番となります。
システムはどんなサービスにも不可欠なものなので、そのような取り組みに関わっていくことで、我々の活躍領域も飛躍的に広がっていくはずです。
荻野
現在はスマホを使ったバンキングサービスも普及し始めていますが、他の銀行と同じことをするのではつまらないですからね。金融の業務に縛られず、JAグループの様々な事業と連携し、色々なアプリをつくってみたいと考えています。
そうですね。現在、NICでは問い合わせ対応事務へのAI導入や、定型業務にRPAを用いて自動化するシステムの開発を、生産性を高めるための取り組みとして始めています。そして、今後はユーザーの皆さんに使っていただくアプリ開発といった新しい価値を生み出す仕事にも力を注ぎこんでいきたいと思っています。
荻野
NICは最近、新しい開発手法にも力を入れていますね。
これまで手掛けてきた金融のシステムは、高い信頼性が求められるものだったため、綿密なつくり込みやテストを行ってきましたが、アプリを含めデジタル化の世界はそれとは違い、まずは世の中にリリースし、ユーザーの反応を見ながら更新していく世界であり、デザインシンキングやアジャイル型開発が必須になります。決して従来のやり方を否定するわけではなく、サービスや業務の特性に合わせて、つくり方をチョイスしていく必要があります。

利益の有無ではなく、

公益に資するため。

我々は農林水産業の

イノベーションに挑み、

社会への貢献を目指す。

Chapter 03

ベンチャー企業などとも協業し、
新しい風を取り込んでいく。

─── イノベーションラボも開設予定と聞いていますが。

荻野
ええ。このラボは、新たなイノベーションを生み出していくためのオープンな共同プラットフォーム。農林中央金庫とNICを含めたJAグループの各組織が連携し、ベンチャー企業や一般の取引先、大学、行政など、多様なバックグラウンドを持つ方々にも加わっていただいて協業することにより、革新的なサービスを創る取り組みです。
イノベーションラボでは異なる文化や発想を持つ人たちと接触をすることで、新鮮な刺激が受けられるでしょう。また、この場には農業関係の組織の方も多数集まってきますので、我々も積極的に意見交換を行って、金融以外のシステムなどに挑んでいきたいと考えています。
荻野
他の金融機関のラボ、他業態のラボなど様々ありますが、自らのビジネスとして取り組んでいるものがほとんど。それに対して我々は、農林水産業や地域社会に関する社会課題の解決に向けて幅広くやっていこうというスタンスです。すなわち、デジタル化においてもJAグループの従来からの存在意義を大切にしながら、取り組んでいきます。
荻野さんたちと共に活動する我々も、農業をはじめとするさまざまな世界に触れながら、社会に広く貢献していける。こうした点は、他の銀行系のシステム子会社とは違うNICの独自性になると感じます。

Chapter 04

最大の障壁は、我々自身の中にある。
新しい時代に適応し、その先を目指さなければならない。

─── ビジョンを実現するにあたって乗り越えるべき課題とは?

荻野
一番の課題は、我々の組織や職員のマインドを変えることですね。イノベーションラボでさまざまなイベントを開催し、刺激を受け、そうした中で、ぜひNICにも開発手法やスピード感なども含め、構造変化が起きている世の中に適応しながら、“変化のその先”を目指してほしいと期待しています。
おっしゃる通り、私たちもその点を強く意識しています。そしてもう一つ、我々の課題だと思うのは技術面。NICはこれまで、情報ベンダーの協力を得ながらシステム開発を行っていることもあり、プロジェクトマネジメントのスキルの高さを強みにしてきましたが、デジタル化を進めるにあたっては、自らの手で新技術を使いこなす技術力も養わなければいけません。
荻野
技術力という面では、新たな技術を学べる機会もありますね。
そうなんです。私自身つい先日、北米でクラウド関係のイベントに参加してきたばかりですし、他のメンバーにもさまざまな機会を利用して、最新技術を習得してほしいと願っています。それに加えて当社の活躍領域が拡大していく状況下では、人材の多様性というものも重要になってきますので、何らかの分野に特化したスキルを持つ人や独創的な発想ができる人など、様々な方と一緒に仕事ができればと思っています。
荻野
それぞれに得意分野を持った人たちが一つにまとまり、プロジェクトを行っていくようなチームワークが取れたらいいですよね。
イノベーションというのは本来楽しいものだと思うので、若手の人にも自由に意見を出してもらって、一緒に楽しくやっていきたいですね。

農中情報システムはテクノロジーと対峙しながらも、常に社会を身近に感じ、世の中に貢献しているという満足感が味わえる稀有なシステム会社です。このような生き方、働き方に意義を感じてくれる学生のみなさんに多数ご応募いただければと願っています。
(農林中央金庫 荻野 浩輝)

私たちNICの活躍フィールドは今、飛躍的な広がりを見せようとしています。金融機関の信頼性の高いシステムづくりに携わり、プロジェクトマネジメントや金融の業務知識を身につけること、デジタルの分野で新しい発想や開発手法を学ぶこと、一つひとつの経験がエンジニアとして歩むうえでの大きな強みとなるはずです。
(農中情報システム 重 信之)